道は一時的に狭くなるが、直ぐに整備が良くなる。
道沿いを流れる古屋谷川は、那賀川に流れ込む支流であり、かなりな清流である。
古屋の道沿いには狭い河川敷を利用した田んぼがあり、川と坂のコントラストと箱庭的な美しさが興味深く、少し立ち止まってしまった。
河川には米の他に、栗、すだち、柿、オクラ、唐辛子、タマネギ、瓜などが植えられており、自給に十分な食料が得られるようで、山間の狭作地は意外と工夫されて豊かなのだと思い知らされる。昔の人の知恵と労力は凄いなぁ。
更に少し先に行った鎌渕付近で、もう使用されていない橋の橋脚らしきものが有ったので行ってみる。竣工昭和59年と有る。どうも長安口ダムが整備されたのに前後して、この橋が整備されたらしいが、それ以前からずっとあるが如く寂れきっていた。しかもどうやって利用されていたのか見当が付かないほど橋の出口のアクセスが悪い。正直行き止まりである。折角の国の投資もこうやって浪費されるのかと思いを抱きつつ。
写真を撮影していると、偶然にもその周辺の畑の所有者であるおにいちゃんが話しかけてきた。「うちの畑に興味有るんで?(興味アルのかい?)」
「いや、古い橋の跡があるので撮してました」
この橋のいわれなどについて興味深い話が聞けた。
今整備されている県道は、ここ十数年まえのことであり、それまではこの奥にある数件の家はこの朽ちた橋が現役だったころ、これが唯一の生活道路だったらしい。
昔の規格の軽四(360cc)の幅でなんとか橋を渡れたらしい。ここで車はstopで、農耕用に使用されたそうだ。そこから先は手彫りのトンネルがあり、そこを通ってアクセスしていたらしい。
トンネルを抜けるとこの民家に出るのだが、斜面を切り開き、広い道が付いてしまった今では考えられない不便な生活だったようだ。
なんとこの家の屋号はいまでも「トンネル」というのだそうだ!!
このにいちゃん、昔はKawasaki Z2を5年ほど所有し今はYAMAHAセローを持っているらしいが、私のバイクに興味があるのか、BMWのK/Rのこと、乗り心地や走り、故障の程度、ディーラーのことなど事細かく聞いてきて、30分ほど話し込んでしまった。
やっぱり山にもバイク好きな人はいるよなぁと少し嬉しくなった。もしお金と時間に余裕が出来たら是非のってみることをお薦めして、先を急いだ。