最近の世界的なSUV人気の中で、日本においては、やや盛り上がりは控えめですが。
むろん世界を見据えた日本のメーカーは海外向けに多くのラインナップを持ちます。
本来はSUVはオフロード車ベースなので、ラフロードでの走破性が売りだったハズなんですがが最近は、コーナーでのロールを抑える固められた独立懸架式の足回り、ラダーフレームを持たないモノコックボディなど、オンロードでの走りを第一に考えたSUVまたはクロスオーバーモデルが増えています。
その中で出た、HONDA CROSSROADとMITSUBISHI DELICA D:5は、方向性は違えど、共に格好良く仕上がっていると思います。
クロスロードは、乗用車のストリームをベースにSUVっぽい外装を与えた車。
対してデリカはアウトランダーをベースにしています。
乗用車ベースのシャシー、男っぽい角々としてボクシーなスタイル、大きな最低地上高、7(8)人の多い定員など、共通点も多いのですが。
しかし、デリカは三菱お得意のフルタイムAWD(4WD)などメーカー持ち味を生かした機構を持ち、高い室内高と広い空間を備えます。
一方、クロスロードは相変わらずのパートタイムAWD、低床プラットフォームを使うので見かけより広い空間を得ていますが、全長が足りずリラックス出来ない最小限のサードシートなど、相対的に「なんちゃって」オフローダのイメージになりますね。
でも、実はそんなのどうでもいいのです(笑)
日本には、大型本格的オフローダが性能発揮出来るような林道や乗り入れ可能な砂浜など無きに等しい訳ですから、乗用車にそういう性能は不要なんです。
今のSUVに求められるのは、本物っぽいスタイル。
そういう意味で、この2車というのは、「カッコイイ」と思うエッセンスを上手くちりばめてデザインされており、オデッセイやエスティマでなくてデザインでこれにした、といっても十分納得出来ます。
クロスロードを、エンジンルームが独立したスタイルと、このプラットフォームで、十分に3列共に居住性+荷室を与えたなら、全長5mを越えるとても大きな車になってしまい、とても取り回しが悪く格好の悪い車になったでしょう。
この車の居住性が低いという人は、アメリカ製SUVにも似たデザインと取り回しの良い車体サイズのどちらかを捨てることになります。
だったら、実用性を重視して、ワンボックスを買えばいい訳です。
この半端な居住性は確信犯なのでは、と思う訳です。
ホンダも居住性に優れた、ステップワゴンという名のセミワンボックスをラインナップに(それも日本専用に)用意してあります。
SUVにするのは、ワンボックスやユーティリティーカーの、荷物や人を沢山運べるが故に生まれる「生活感」や「仕事感」が出るがいやだから、なんだと思うんです。
まず、押しの強いボリュームのあるカッコイイデザインに、大排気量でトルクフルorハイパワーなエンジンを搭載し、街中でも鈍重感を持たせない。
だから燃費が悪くても仕方がない。
でも、海外では欲しい人には売れている。
日本では売れないから、軽量にしてそこそこのパワーのエンジンを付けた訳です。
そのかわり本格的なOFF性能は付けない。
デリカには、さらにワンボックスに負けない実用性とそれなり(でも十分)の走破性があります。
D:5、なかなか大したものです。
実用性は欲しい、でもユーティリティーを持ちながらも格好良くありたい。
そういう意味では、なかなか売れるのでは、と思うのです。